例え遊びの相手でもいいと告白されても。

「身体だけの関係ってどう思います?」

車を郊外の公園の駐車場に停めたときに、彼女の目つきも変わってきた。
もちろん俺の目もきっとそうだったはず。

「どうだろうね?」

俺の答えはいつも同じ、自分から答えを出さないんだ。

「私、いつもストレートな言葉でお誘いかけたりしちゃうけれど」
「誰にでもってわけじゃないんです、そんなに軽い女じゃありません」

そう言って彼女は俺に対する気持ちを話した。
俺が中途採用で入社してから今まで、驚いたことに彼女はよく俺を観察?していた。
あの日はこんな風だったとか、こんなことを話してくれたとか。
彼女の失敗を俺がフォローしてあげたことがあって、それから何となく俺が視界の中に心地よく入ってくるようになったとか。

「nihiさんには私が遊んでいるバカ女みたいに映るのかもしれないけど」
「冗談でnihiさんにモーションかけてるわけではないんですよ」

それから彼女は自分の恋愛体験を赤裸々に語った。
こんなことをされた、あんなことをされた。
聞いていて股間を熱くするような内容を淡々と語る彼女。
そして、

「不思議ですよね、こんな恥ずかしいこと誰にも言えないのに」
「nihiさんには、ベラベラ話ししてしまって」

小悪魔のような笑みを見せながら囁いた。
そう言えば、妻も過去の男女関係を俺の嫉妬心が燃え上がるほど詳細に俺に話したことがあったな。

俺って話し易い人なのかな?

「nihiさんは私のことどう思われます?」

俺の目をまっすぐに見詰める彼女。
彼女の体験談を聞いているうちに、スイッチはエロモードにしっかり切り替わってしまっている俺。

「どう思われるって言われてもね」

沈黙が2人のあいだを流れていく。

「出ようか」

俺は彼女の手を取って車の外に出た。中に二人っきりでいると、ブレーキが壊れそうだったからだ。

外は風があって少し寒かったが、彼女の話しを聞いて、俺の体は火照っていた。
火照っていたのは話しのせいだけではなかった。
彼女が静かに俺の腕に体をあずけてくる。

「ね、腕組んでもいい?」

「…」

俺は返事をしなかったが、彼女はそっと俺に腕を絡ませてきた。
不思議と違和感はなかった。

暫く無言のまま歩く俺と彼女。
公園の中に入り、花の散った葉桜を眺めながら、二人歩く。

端から見れば普通のカップルに見えていただろう。

歩いて一番近いラブホの前で立ち止まる。

公園の片隅に小さなベンチを見つけた彼女は、

「もうちょっとお話ししましょう」「ベンチに座って」

公園のベンチへと俺を誘った。

「ドキドキしてるんです」
「いま、このまま、nihiさんに誘われたらホテルの門をくぐっゃう」

「そしたらnihiさんの家庭を壊しちゃうのかなって」

俺は彼女の横に腰掛け、大きくため息をついた。

「例えば、好きだと思う人に抱かれるとき」
「その男が君の体だけが目的だったとしたら」
「それでも抱かれたいって、君は思う?」

彼女に尋ねる俺。

大きな深呼吸をして彼女は俺の目をまっすぐに見詰めた。

「nihiさん、何があったかはわかりません」
「nihiさんはきっと私には何も話してくれないでしょう」
「でも、心のどこかに奥さまに対する不満があって」
「私を抱くことでそれが解消できるなら」

言葉を噛み締め、

「私はあなたの遊び相手の女でかまわないんです」

ニッコリ笑ってそう言い切った。

心臓にドデカい直撃弾を一発食らってしまった。

 

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