おやすみのキスもないまま、さっさと布団に入った妻。
「何か機嫌が悪そうだな」
こんな時は、黙って放っておく。
触らぬ神に祟りなし。
妙に声を掛けるとくすぶっている火の粉に引火するとも限らない。
テレビを見たり本を読んだりして時間をつぶし、
妻が熟睡する頃だろうと1時間ほどして妻の隣に潜り込んだ。
案の定、妻は頭から掛け布団をかぶったまま、熟睡モードに入っていた。
「でも、どうしたんだろう?」
俺が風呂から上ってから、全く口も利かなくなった妻。
天井を見つめながら考え込む俺。
風呂に入る前に何か妻を怒らせる発言でもしたかな?
「……」
心当たりがない。
今日の帰宅後の俺の態度に何某かの不満があったのかな?
きっと沈黙の抗議なんだろう。
「………」
特に思い当たることがない。
「…………」
わからない。
思い当たらない。
でも、妻が不機嫌になるくらいだから、
きっと何か俺が妻の気に入らないことをしてしまったんだろう。
取り敢えず謝っておくか。
「ごめんよ」
寝てしまった妻に髪を撫で、頬に軽くキスをする。
すると妻の身体が小刻みに揺れた。
妻はきっと、夢の中で俺が平謝りしている姿を見ているのかもしれない。
そんな夫婦の何気ない風景でした。
もちろん、
セックスレスは継続中です。
コメント