蜘蛛の巣にかかってしまった獲物。

金曜日の夜。
メールでの判決を下された俺。
バイトでちょっと帰りが遅くなってしまいました。

帰り着くと、妻は既にベッドの中でスヤスヤと寝息を立ててましたね。

風呂から上がり寝室へと入ると、物音に気付いたのか、

「お帰りなさい」

と妻が囁くように俺を迎える。

俺は判決どおり妻の横へ入りこみギュっと抱き締めた。

「ごめんな、、俺、」

言いかけた俺を制止するように、

「何も言わないで、、」
「黙って、抱き締めて」
「ギュっとしていてよ」

俺は黙ったまま、朝まで妻を抱き締めていた。

翌日は睡眠不足。
昼過ぎまで寝てしまいました。

妻はいつもと変わらない様子で俺に接してくる。

その日、土曜日の夜は翌日の仕事に備え早めにベッドに入った俺。
風呂から上がった妻が寝室に入ってきて、

「もう、寝ちゃった?」

と声を掛ける。

「ん、、、まだ起きてるよ」

「じゃ、聞いてね」

「あなたと結婚するときお互いに浮気したらどうする?って話ししたよね」
「あなたは『即!離婚する』って答えた」
「わたしが何て答えたかあなたはおぼえている?」

静かに話しかける妻。
その口振りは俺に話しているというより自分に語りかけているようだった。

「、、、うん、おぼえている」

「そう、それならいいの」

静かに深呼吸をする妻。

「あなたを一生この件で責め続けるんだからね~!!」

と叫んで、いきなり俺の上に跨り俺の脇に手を突っ込んでくる妻。

「こちょこちょこちょ!」

すかさず俺をくすぐり始める。

「あははははは!はは、やめ、やめてくれ!あはは」

「どうだ!こちょこちょ!」

「あは、ははは、あ~はははははは!」

俺の叫び声に、子どもらが起きてきてしまった。

「うるさいよ!」

子どもらに注意を受ける俺と妻。

「はい、ごめんなさい」

子どもらに謝って、お互いに顔を向け合う。

子どもらが部屋に戻ったのを確認すると、妻は静かにそして優しく俺に唇を重ねてきた。

「あなたはわたしのもの」
「どんなに飢えても、どんなに不満があっても」
「わたしから心が離れることはないの」
「だからわたしもあなたの全てを許せる」

静かに諭すように語る妻の言葉に若干の恐怖さえ覚えてしまった。

「あなたはわたしに嘘や隠し事が出来なくなってしまった」
「でも、わたしはまだあなたに嘘もつけるし、隠し事もできるのよ」
「ま、そんなことはしないけれどね」

「あなたの行動もわたしの想定の範囲内なのよ、、」

ちょっと、怖い。
きっと俺は妻の張ったクモの巣につかまった獲物なのかもしれない。

 

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